2019年10月1日
STAGE3:THE ATACAMENOS TRAIL
distance38.9km/elevation↑330m/elevation↓259m
一晩眠れば良くなるはず、なんて淡い期待はかき消され、朝から絶不調。超絶・気持ち悪い。朝ごはんを食べる気にもなれず(こういうことを想定して脂肪を蓄えて行っているので、少々食べなくても問題なし)。昨夜から、様子がおかしいと気づいた日本人メンバーが心配して、「体調どう?」「御飯食べれた?」と声をかけてくれる。みんな優しい。
使った寝袋を畳み、リュックに押し込もうとするも力が入らない。なんとか、全部の荷物をリュックに入れて、一番上のバックルをはめようとするも、出来そうにない。テントメイトのヘレン(マレーシア)に、助けを要請する。明るい笑顔で手助けしてくれたヘレン。彼女は、初日に崖から落ちて、足首を負傷している。傍目にみても、膨れ上がっているのが分かる。ドクターにリタイヤを勧められるも、3日目の今日も頑張ろうとしている。砂漠に来る人たちは、本当にタフで美しい。
そのヘレンにも、今日はついていけそうにない。関門に間に合うのだろうか?とにかく歩こう。前に進まなくちゃ。でも、力が入らない。寝袋捨てたい。いや捨てたら死んじゃう(砂漠の夜は寒い!)。一日ごとに食料が減るので、軽くなっていくはずのリュック。今日が一番、ずっしり重たく感じる。固形物はもちろん、スポーツドリンクさえも、飲み込むのがきつく、口に含んでは吐き出す、の繰り返し。何でだろう?何が原因?いままでにない感覚。
考える力も弱くなり、ただただ、ぼんやりと視界に入るピンクフラッグを追いかける。気づけば、茄子のコスチュームを身に着けた柴田さんがずっと傍にいる。「遅いんでお先にどうぞ」と言うも、「おいていけませんよ、一緒に行きましょう」と励ましてくれる。柴田さんはサハラ砂漠仲間でもある。お互いにこれが、2回目の砂漠マラソン。絆は深い。
ずっと一緒にいるのに、会話をする余裕が全くなく、ただ歩くだけでもしんどい。進んでは、立ち止まり、休み休みにしか動けない体が忌々しい。この日の4つ目のチェックポイント(CP4)に辿り着いたとき時、あまりの気持ち悪さに、ついに泣き崩れた。涙が出る程、気持ち悪かった。
泣いてもどうにかなるわけではないので、進まなくちゃ、と立ち上がろうとすると、背の高いイケメンドクターに、「No」と言われる。日本語が上手なボランティアスタッフのジェーンが通訳をしてくれた。「CP3から、このCP4までの間(10km)、ボトルの水が少ししか減っていない。この気温の中、それはおかしい。ここで、しっかりとスポーツドリンクを飲みなさい」とのこと。
「気持ち悪くて飲めない」と訴えるも、「ゆっくりでいいからボトルの半分飲むまで出発しちゃダメ」と言われる。無理矢理、ドリンクを呑み込み、ボトルをドクターに見せるも、「もうちょっと」「あと少し」と、なかなか許可が出ない。「ドクターは、とても心配しています」とジェーン。分かってはいますが、行かせてくれー、マジで関門やばいのでは?と焦り、あとで吐くのも覚悟で必死に呑み込む。
ドクターの許可がようやくおり、CP4を出発。どうやら、高山病だったようです。どうりで、胃薬飲んでも効かなかったわけです。高山病になったことが無かったので、気持ち悪さの原因がそれだと、なかなか気づけませんでした。気持ち悪いのに、何でこんなに水分飲まなくちゃいけないの?と、思いましたが、ドクターの言うことは聞くもんです。少し、体に力が戻りました。
3日目、日が暮れて、茄子の柴田さんとともにフィニッシュ。大幅に順位を落として、70位/88人中でした。先にゴールしていた日本人メンバーが、みんなで待ってくれていて、「よく帰ってきた!」「よく頑張った!」と労いの言葉をかけてくれて、めちゃくちゃ嬉しかった。仲間って、本当に有り難い。